韓国人を雇用したい!文化ギャップや採用の手順・注意点などを詳しく解説

執筆者:

外国人採用サポネット編集部

韓国では一部の大手財閥系企業に人気が集中し、優秀な人材が就職できないことが珍しくありません。そのなかには、能力が高いうえに日本語を喋れる学生も多く、日本企業が優秀な韓国人を採用できる機会があるといっていいでしょう。

しかし、韓国のことを知らずに採用活動をするのは不安なものです。そこで、韓国人の文化性や、採用すべき韓国人の特徴などを解説します。

韓国人の文化ギャップや採用の手順、注意点などもあわせて解説するので、韓国人を採用するときに考慮しておきたい基本的なことがわかります。

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韓国(大韓民国)の基本情報

韓国について基本情報をおさらいしておきましょう。韓国の正式名称は大韓民国で、日本の隣国です。

【大韓民国の基礎データ】

面積:約10万平方キロメートル(朝鮮半島全体の45%、日本の約4分の1)
人口:約5,156 万人(出典:2023年、韓国統計庁)
首都:ソウル
公用語:韓国語
▶出典:大韓民国基礎データ|外務省

通貨は「ウォン」が使用されており、韓流ブームもあって、日本にとって親しみがある国です。

韓国人の特徴と国民性

韓国人の特徴は、年功序列で年上を敬い、上下関係を大切にする国民性が挙げられます。

韓国人の年功序列の文化は、かつての儒教の教えがもとになったもので、年上など目上の人を立てる上下関係や、家族などの集団を重視することが特徴です。この教えは、今でも韓国人の倫理観に大きな影響を及ぼしています。

年功序列・上下関係を大切にする国民性は、日本と同じ考え方であることから相性が良い、馴染みやすいと言われています。

韓国の学歴社会と就職難

韓国は、超学歴社会・超大手企業志向の社会です。そのため、韓国人の思考も競争意識が強い傾向があります。

  • 韓国の特徴
    • 超学歴社会:苛烈な大学受験
    • 超大手企業志向:激しい就活競争

一部大手財閥系企業に入社するために良い学歴が必要で、良い学歴を手に入れるための大学受験が非常にハードなものになっています。無事良い大学に合格すればエスカレーター式に財閥系大手企業に入社できる、ということではなく、入学後も大学の成績や語学などの数字を上げるために猛勉強します。これらの数字は、就活の際に注目される学生の「評価点」であり、就活競争で勝ち上がるための武器です。

このように、就活の競争も激しいものになっています。激しい競争のなか、財閥系大手企業に入社できるのは一握りの学生しかいない厳しい世界です。

韓国人の仕事観

韓国人は就職に対してハングリーであり、転職に抵抗感は持っていません。実際に、転職することが珍しくない社会になっています。また、競争社会に揉まれた結果、学習意欲が高く負けず嫌いの傾向があります。

韓国では一部の財閥系大手以外の中小企業では、給料に大きな差があります。そのため、ネガティブな理由ではなくキャリアアップのために転職をするという意識を持っているのです。

労働政策研究・研修機構が発表した「データブック国際労働比較2024」の勤続年数別雇用者割合によると、日本は勤続年数が20年以上という答えが22.3%であるのに対し、韓国は10年以上が21.6%という数字になっています。次いで割合の多い勤続年数は1~2年で、20.9%という数字です。

  • 1社の勤続年数
    • 日本…20年以上が22.3%
    • 韓国…10年以上が21.6%(1~2年は20.9%)
      →韓国は1社に長く勤める人が少ない

また、「データブック国際労働比較2024」には、青少年の転職に関する考え方も記載してあります。「自分の才能を生かすために積極的に転職する方がよい」と考える若者は、2018年の調査で日本は10.1%という割合であるのに対し、韓国は13.3%と日本を上回っています。

韓国人採用のメリット

韓国人を採用するメリットには、韓国人は学習意欲が高くスキルアップへの意識が強いほかに、文化が似ており、、日本文化をよく知っていることから日本に馴染みやすいという点もあります。

  • 韓国人採用のメリット
    1. 日本語学習者が多い
    2. 年上を敬う年功序列の意識がある

年功序列で年上を大切にする意識がある韓国は、日本の労働文化に馴染みやすいです。しかし、スピード重視であり「何事も早くするべき」という考え方をするので、スピードより質を重視しがちな日本の文化と衝突する可能性があります。その点についてはフォローが必要です。

また、日本語スキルが高い、日本語学習者が多いことも韓国人採用のメリットです。国際交流基金が2021年度に調査した「2021年度海外日本語教育機関調査」では、韓国の日本語学習者は全世界で3位の470,334人と、非常に多いといえます。

しかし、韓国国内で日本語を生かせる就職は簡単ではなく、日本語学習者は「供給過多」なのが韓国国内の現状です。裏を返せば、日本で就職してもらうチャンスが多いともいえます。

日本で就職したい人の特徴

日本就職を希望する韓国人の特徴は、お金のためというよりは、日本語を使って働き、日本で生活をしたいというキャリアを求めた結果である傾向が強いところです。

日本のアニメや漫画などの文化が好きで日本語を学び、せっかくだから大好きな日本でキャリアを積んでいきたいという想いが強い韓国人は少なくありません。先に書いたとおり、日本語学習者は韓国内では供給過多であり、日本語を扱う仕事に就けなかった韓国人が就職のために来日することもあります。

また、高学歴にもかかわらず大手財閥系企業に入社できなかった人が、日本に来て独自のキャリアを積んでいこうとすることもあるでしょう。

そもそも日本語を使用する職業であるかに関わらず、韓国国内での就職は非常に競争率が高く、海外で働こうとする傾向は日本人よりも強い傾向です。

韓国人の採用方法

韓国人の採用方法は、韓国現地で採用するか、もしくは日本国内にいる韓国人を採用するかのどちらかです。

韓国人はどの在留資格が多いのか?

韓国人で、日本で働くために所持している在留資格のうち、もっとも多いのは日本人の配偶者や永住者など、いわゆる「身分系在留資格」を持っている韓国人です。

2023年10月末時点の厚生労働省による「外国人雇用状況」の届け出状況の調査結果では、韓国人の全在留資格者71,454人のうち、31,264人と約43.8%の割合を占めています。

【韓国人の在留資格の割合】

  • 配偶者・永住者などの「身分系在留資格」…約43.8%
  • 「技術・人文知識・国際業務」…約37.8%
  • 「特定技能」…約0.2%
  • 「留学」…約8.6%

次に多いのが「技術・人文知識・国際」で26,778人、日本に在留する韓国人のうち約37.8%がこの在留資格で働いています。

なぜ「技術・人文知識・国際業務」で働いている韓国人が多いのかというと、韓国人は大学卒の人がほとんどであるため、「技術・人文知識・国際業務」の学歴の要件を満たせる高度人材が多いからです。

採用におすすめの業界

韓国人の採用をおすすめする業界は、宿泊や外食業界などの接客業務が発生する、日本語を使う機会が多い業界。日本企業採用は韓国人を採用しやすい傾向です。

一方、採用の難易度が高いのは、理系の韓国人学生です。

理系の就職先は韓国現地の大手企業の方が給与は高く、それなりの初任給・待遇でなければ採用は難しいと考えてください。韓国の大手ジョブサイトのSaraminが2022年9月に行った韓国の大企業年収調査では、初任給が高い企業の1位は金融、2位が情報通信(IT)、3位が製造・化学と理系分野がベスト3となっています。これらの韓国の財閥系企業や情報通信系大手は、理系学生に5,000万~6,000万ウォン(日本円で約600万~700万円)の年収を提示することも珍しくありません。このように、理系の人材を獲得することは、給与の面から考えて採用の難易度が高くなっています。

理系学生の高い採用難易度に対して、文系学生の採用難易度はさほど高くないと考えていいでしょう。財閥系や大手企業ではない中小企業の年収は、2,000万ウォン程度です。日本円に直すと約230万円で、日本企業の新卒初任給とさほど変わりません。また、日本語をある程度のレベルまで使うことができ、なおかつ韓国語を話せる文系の韓国人はねらい目だといえるでしょう。

このことから、韓国人の理系学生の獲得は難しいものですが、文系学生の獲得難易度は日本と同じくらいだといえます。

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中小企業のための外国人採用戦略

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採用ルート:①韓国現地在住者を採用する

韓国現地在住者を採用するのは、今ではそう難しいことではありません。採用選考はオンラインでリモート面接などが可能ですし、オンラインでの会社説明会も可能です。

先述のように、韓国では一部の財閥系大手企業への就職が非常に人気ですが、日本を含めた海外ならば知名度が低い企業でもあまりこだわらない、という傾向があります。

では、韓国現地在住者を採用するパターンについて詳しく見ていきましょう。

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韓国現地の大学生を新卒採用する

韓国は、日本と同じように大学生の新卒採用という考えがあります。中途採用だと給料を高く設定しないと人が集まらない一方、新卒採用なら日本と同じような給料でも優秀な学生を採用できるチャンスがあるでしょう。
韓国国内の2021年の有効求人倍率は0.50倍と非常に厳しい状況が続いており、海外に就職のチャンスを求める学生が多いと予想できます。

また、日本で暮らしたことがないので、日本の地理にこだわりが少ないです。勤務地にこだわりがないので、地方の企業でも優秀な人材を採用できるチャンスがあります。

採用ルート②:日本に在留している韓国人を採用する

2つ目として、日本に在留している韓国人を採用するルートがあります。

この採用ルートのメリットは、日本に在留している韓国人が、日本での常識やマナーを既に知っており、慣れているという点です。

日本に来たことがない韓国人に、日本の常識やマナーを教えるのは少々時間がかかるため、留学生や転職者などの日本に在留している韓国人を採用すると、そのぶん時間などのコストを省くことができます。

ただし、採用条件が少し高くなる可能性があります。日本の常識や地理をある程度知っているので、都心の勤務地を希望するなど、希望条件が多くなることが予想されます。

留学生を採用する

在留している韓国人を採用するパターンとしては、日本に来ている留学生が卒業する際に採用する方法があります。

メリットは、日本で学生生活をおくったことで日本の文化や習慣、マナーなどをすでに身に着けていることや、アルバイト経験がある留学生が多いことなどです

日本でのアルバイト(就労)経験があるので、日本の職場の雰囲気も知っていることが多いです。韓国人独特のスピード重視や勤勉さなどは長所ですが、時には職場で孤立する危険性もあります。アルバイト経験などで日本の職場の雰囲気を知っている留学生は、日本独特の習慣を認識していることが多いといえます。

一方、日本のことを知っているので、希望条件が高くなる傾向があります。企業の立地や給与、その他の待遇など、相応の条件が無いと留学生を採用するのは難しいでしょう。

転職者を採用する

日本に在留している韓国人の転職者を採用する場合、日本人の転職者と同じ採用条件で考えていいでしょう。

日本国内で転職を考えている韓国人の採用難易度は、日本人転職者と変わりません。理系の日本人と同じ給与や待遇が相場となっています。

外国人を雇用するための手続き

韓国人を雇用するための手続きは、日本国内在留者なのか、それとも韓国在住者なのかで違います。

  • 日本国内在留者の場合

留学生など在留資格の変更が必要な場合は、住居地を管轄する地方出入国管理官署にて在留資格変更を申請します。既に「技術・人文知識・国際業務」などの就労できる在留資格を持っている場合は、ハローワークに外国人雇用状況の届け出も必要です。

  • 現地の韓国人を日本で雇用する場合

この場合、該当する韓国人には就労可能かつ就労に適した在留資格を取得してもらう必要があります。

在留資格とは?29種類一覧・総まとめ!要件や取得方法を解説

在留資格の取得方法

韓国現地から韓国人を雇用する場合、就労可能な在留資格を取得する必要があります。それぞれの職種に相応しい、就労可能な在留資格を取得しなければいけません。例として、「技術・人文知識・国際業務」の在留資格の場合を解説します。

日本での就労可能な在留資格のうち、有名なものが「技術・人文知識・国際業務」です。
取得するための要件があります。

  • 学歴(職歴)と業務内容が関連している
  • 学歴が海外もしくは日本の大卒、日本の専門学校卒以上
  • 受け入れ企業の経営状態
  • 給与額が同じ業務を行う日本人社員と同等かそれ以上である

基本的に上記の1~4の要件を満たせば取得できますが、不許可となる場合もあります。特に「1」の学歴と業務内容の関連性は不許可になりやすい要件です。

上記の要件を満たしていたら、以下の流れで「技術・人文知識・国際業務」の在留資格を申請します。

  1. 韓国現地から日本に呼び寄せる場合
  2. 企業が韓国人材と雇用契約を結ぶ
  3. 企業が「在留資格証明書交付申請」を行う
  4. 「在留資格認定証明書」を雇用した韓国人材に送付する
  5. 韓国人材が日本大使館にビザ(査証)を申請する
  6. 来日・就労開始
  7. 留学生など日本在留の韓国人を雇用する場合
  8. 企業が韓国人材と雇用契約を結ぶ
  9. 韓国人材が「在留資格変更許可申請」を行う
  10. 就労開始

以上の手順で「技術・人文知識・国際業務」の在留資格を取得できます。

韓国人を雇用するときに注意するポイント

韓国人を雇用する際は、在留資格申請で不許可にならないように注意が必要です。

「技術・人文知識・国際業務」の在留資格の要件は細かく、学歴が予定している業務内容と一致しているかなどを、出入国在留管理庁からよくチェックされます。

また、在留資格「留学」から「技術・人文知識・国際業務」の在留資格へと変更申請する際に、在留状況が悪くないかども考慮しましょう。具体例は以下の通りです。

  • 在留資格「留学」の悪い在留状況の具体例
    • 資格外活動の上限制限違反
    • 出席率が悪い、学校を退学したか除籍された

また、韓国人を雇用する際は、兵役を終えているかどうかも確かめておきましょう。韓国では一般的に大学生の期間に兵役を終える人が多いので、あまり気にする必要はありませんが、採用する際は一応聞いておいたほうが安心できます。

【事例掲載】就労ビザ申請が不許可になる原因とは。再申請前に知っておきたい注意点

文系業界はねらい目!

日本での就職を希望する韓国人は日本語が堪能であることが多く、日本語を活かした就職でやりがいを得たいという人が多い傾向があります。理系の韓国人の採用難易度が高い一方、文系の韓国人の給与は日本とあまり変わりないので、旅行業界など文系の業界において韓国人採用がおすすめです。

高学歴な学生が日本企業への就職を希望するケースもあり、そのような学生は能力が高いので、企業にとって必要不可欠な存在になることもありえます。また、韓国人はハングリーで勤勉な傾向がある国民性なので、採用すれば日本人社員の刺激にもなるかもしれません。しかし、単独の企業が韓国人の採用を行うのは難しいものです。

マイナビグローバルでは、外国人材の採用や受け入れ環境の整備などを行い、外国人材受け入れのサポートをしています。韓国人材を採用したいときは、いつでもお問い合わせください。