【一覧表あり】特定技能外国人が退職する際の届出書類・注意点を解説

執筆者:

外国人採用サポネット編集部

日本で働く特定技能外国人は年々増えています。それに伴い、「退職に関する手続き」について、年々増加傾向にあります。
特定技能外国人が退職する際は、本人の都合による退職でも、会社の事情による退職でも、それぞれに決められた手続きと届出が必要です。
提出先を間違えたり、期限を過ぎたりしてしまうと、受入れ企業が行政指導を受ける可能性もあります。正しい知識を持って、適切に対応しましょう。
この記事では、退職理由別に必要な書類と手続きの流れを図でわかりやすく紹介します。あわせて、現場で実際に起きたトラブル事例や、注意すべきポイントも解説します。

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監修:行政書士/初鹿 麻美(サポート行政書士法人)

サポート行政書士法人にて在留資格に関するコンサルティング業務を担当。技術・人文知識・国際業務などのいわゆる就労ビザの取り扱い経験が豊富で、申請取次実績は年間800件以上。行政書士(東京都行政書士会所属/第16080722号)

特定技能外国人の退職パターン

特定技能外国人の退職パターンは、大きく「自己都合による退職」 「会社都合による退職」 に分かれます。

「自己都合による退職」は、文字どおり本人の希望で契約を終了するケースです。たとえば、家庭の事情で帰国やより条件の良い職場への転職、または健康や生活上の理由での退職がこれに当てはまります。一方の「会社都合による退職」は、会社の判断で契約を終了するケースです。業績悪化による人員削減や、契約更新の打ち切りなどが代表的です。

いずれのケースでも、特定技能外国人の退職に際しては入管(出入国在留管理庁)とハローワークへの届出が必要です。ただし、提出する書類や手続きの流れは少し異なりますので、事前にしっかり確認しましょう。

特定技能外国人本人の自己都合による退職とは?

特定技能で働く外国人が、自分の意思で仕事を辞める理由はさまざまです。ここでは、よくあるケースを紹介します。

個人的な事情による退職

家族の都合や結婚・出産、母国への帰国、生活環境の変化など、プライベートな理由で退職するケースです。

キャリアアップや転職のため

特定技能では一定の条件のもとでの転職が認められています。そのため、「もっと条件の良い職場で働きたい」「新しい分野で働きたい」「特定技能2号の取得を目指せる企業で働きたい」といった前向きな理由による退職も見られます。

在留期間(最長5年)の満了

特定技能1号の在留期間は最長5年です。期間満了により契約が終了し、帰国する場合も、自己都合退職として扱われることがあります。

ケガや病気など健康上の理由

体調不良やけがなどのために、仕事の継続が難しくなったケースです。

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受け入れ先の企業都合による退職とは?

会社の事情によって、雇用を続けられなくなるケースを「会社都合による退職」といいます。
ただし、企業が従業員を解雇するにはきちんとした理由が必要で、労働法でも厳しくルールが定められています。また、これは外国人にも同じように適用されます。本人の意思とは関係なく契約が終了することで、その後の生活や在留資格にも影響する可能性があります。そのため、企業側には「なぜ雇用を続けられないのか」という理由を明確にし、慎重に手続きを進めることが求められます。

経営上の理由(解雇)

経営悪化や人員削減、事業縮小、倒産など、会社の都合で雇用を続けるのが難しくなったケースです。

業務内容の変更などによる職種の見直し

事業の再編や組織変更などにより、特定技能外国人が担当していた業務や職種が不要になってしまう場合です。

受入れ機関が基準不適合となった場合

体制の不備や法令違反などにより、企業が「特定技能外国人を受け入れる基準」に不適合となり、受け入れが認められなくなった場合です。
この場合、企業側の都合として雇用契約を終了せざるを得なくなります。

特定技能外国人の退職パターン別、必要な手続きと届出書類

特定技能外国人が退職する際は、「本人の意思による退職(自己都合)」と「会社の事情による退職(会社都合)」 のいずれの場合でも、それぞれ決められた手続きや届出が必要です。

手続きの流れや提出先、必要な書類は退職理由によって異なります。この章では、本人都合・会社都合それぞれのケースで、どんな手続きを行い、どの書類を提出すればいいのかを、順を追って説明します。

本人都合退職の際の手続き

まずは特定技能外国人が、本人の都合で退職する場合に必要な手続きについて、その流れや、具体的な提出方法などについて紹介します。

どこに、どうやって提出すれば良い?必要な手続きの流れ(本人都合の場合)

特定技能で働く外国人から「退職したい」と申し出があったら、期限内に決められた手続きを進める必要があります。
まず退職した外国人本人が、退職日から14日以内に「所属機関に関する届出(参考様式1-4 契約の終了)」を入管に提出します。
さらに、雇用契約が終了した日から14日以内に、ハローワークへ報告を行います。

  • 出入国在留管理庁へ関連書類を提出: 退職日から14日以内
  • ハローワークへ報告:雇用契約が終了した日から14日以内

手続きの期限が短いため、退職の意思を確認した時点で、あらかじめ必要書類の準備をはじめておくといいでしょう。

本人都合による退職時の届出書類一覧と記入例

特定技能外国人が本人の都合で退職する場合、企業は「特定技能雇用契約の終了に係る届出」を出入国在留管理庁へ届け出る必要があります。

「特定技能所属機関による特定技能雇用契約に係る届出」

特定技能外国人の雇用契約を終了したことを報告するための書類です。

本人都合退職の際の届出先と提出方法

・届出書類のフォーマットは?

「特定技能所属機関による特定技能雇用契約に係る届出」は、PDF版とExcel版のフォーマットが用意されています。内容は同じなので、使いやすいほうを選びましょう。

・届出先は?

2つの書類は、いずれも外国人を雇用していた企業の本社(または本店)がある所在地を管轄する「出入国在留管理局」に提出します。管轄は地域ごとに分かれているので、まずは自社所在地の管理局を確認しておきましょう。

・提出方法は?

書類の提出方法は、オンライン・郵送・窓口への持参の3つから選べます。
パソコンから申請できる「電子届出システム」を使えば、入管まで行く必要はありません。郵送で送る場合は、宛先を間違えないように管轄の出入国在留管理局を確認しておきましょう。

一時帰国するために退職した場合

家庭の事情などで特定技能外国人が母国に帰国する場合、「会社を退職して帰国するケース」と「契約を続けたまま一時的に帰国するケース」があります。 再来日を前提にした一時帰国の場合でも、退職を伴うかどうかで必要な届出が変わります。それぞれのケースに応じて、制度に沿った正しい手続きを行いましょう。

受入れ企業との雇用契約を終了して一時帰国する場合

会社との雇用契約を終了して一時帰国するケースです。退職によって登録支援機関との契約が終了したり、契約内容に変更がある場合は、入管に「支援委託契約の終了又は締結に係る届出書」を提出します。

一時帰国した本人は、厚生年金の脱退一時金を申請することで、日本で働いていた期間に支払った年金の一部を受け取れる場合があります。 脱退一時金については下記記事でも解説していますので、ぜひあわせてご覧ください。

退職して一時帰国する場合も、在留資格(特定技能)は有効期間内であればそのまま維持されます。つまり、再び日本で働く意思があれば、再来日して別の企業で働くことも可能です。 ただし、帰国期間が長くなりすぎると在留資格に影響する場合があるため、長期帰国の際は事前に入管へ相談することをおすすめします。

外国人雇用の就業規則トラブル&解決策

社労士監修!外国人雇用のトラブル事例&解決策

外国人の脱退一時金請求、長期休暇、社宅の問題など、外国人雇用ならではのお悩みを抱える企業は少なくありません。本資料では、社労士のアドバイスをもとに、トラブル事例とそれらを未然に防ぐための解決策を紹介しています。

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採用側の企業都合による退職の場合

次に、特定技能外国人を受け入れていた企業や事業者の側の都合で退職する場合の手続きなどについて解説します。

特定技能制度では、特定技能外国人を受け入れている企業は、外国人本人の意向ではない「非自発的な退職」を行ってはならないことになっています。経営上の都合や人員整理など、会社側の事情のためにやむなく雇用関係を終了させる場合は、慎重な判断と正しい手続きが必要です。

非自発的な退職に該当するケースとは?

先ほども述べましたが、特定技能制度では、受入れ企業の会社都合で外国人を一方的に解雇することは原則できません。ただし、経営悪化や倒産など、どうしても雇用を継続できない正当な理由、つまり「受入れ困難な事由」に当てはまると認められる場合については、例外的に雇用契約を解除することができます。

「受入れ困難な事由」として認められるケースには、

  • 経営悪化や倒産による雇用継続の困難
  • 部署や業務の廃止による配置転換不能
  • 事業再編・縮小による人員削減
  • 受け入れ企業としての基準不適合と判断された場合

などがあります。

受け入れ困難な事由のために特定技能外国人との雇用契約を解除する場合は、雇用契約の継続が難しいことが判明してから14日以内に、受入れ企業から地方出入国在留管理局に「受入れ困難に係る届出書」を提出します。

どこに、どうやって提出すれば良い?必要な手続きの流れ

会社の都合で特定技能外国人を退職させる場合、受入れ企業には、届出などのほか、退職前の本人フォローや退職後の対応まで、しっかりと行うことが求められます。

退職前:本人の意思確認と就労支援

退職前には、まず特定技能外国人本人に日本で引き続き就労する意思があるかを確認します。
継続就労の意思がある場合は、企業がハローワークや職業紹介会社、登録支援機関などを通じて、次の職場を見つけられるよう支援します。 この「就労継続支援」を怠ると、企業の受け入れ体制の適正性を問われる可能性があります。

退職時:入管への届出

退職が正式に決まったら、企業の本店所在地を管轄する地方出入国在留管理局に「受入れ困難に係る届出書」、「受入れ困難となるに至った経緯に係る説明書」、「特定技能所属機関による特定技能雇用契約に係る届出」を雇用契約の終了日から14日以内に所属機関が提出します。また、退職した外国人本人が退職日から14日以内に「所属機関に関する届出(参考様式1-4 契約の終了)」を入管に提出します。

退職後:ハローワークへの届出
雇用契約終了後は、企業からハローワークへ「雇用保険被保険者資格喪失届」などの報告を行います。これは特定技能外国人が日本で次の仕事を探す際に必要な公的手続きとなるため、できるだけ速やかに対応しましょう。 退職前後の本人フォローや支援については下記記事でも解説していますので、ぜひあわせて参考にしてください。

会社都合による退社時の届出書類一覧と記入例

特定技能外国人が会社の都合で退職する場合、受け入れていた企業からは、次の2種類の届出書類を提出します。

・「受入れ困難に係る届出書」

経営悪化や事業縮小、業務変更などの理由で、特定技能外国人を継続して雇用できなくなったことを報告するための書類です。「なぜ契約を続けられなくなったのか」という原因や背景を具体的に記載し、契約を継続できないと判断した日から14日以内に提出します。

「受入れ困難となるに至った経緯に係る説明書」

上記の「受入れ困難に係る届出書」を補足する文書です。受け入れが困難となった経緯を、たとえば経営状況の変化、部署統廃合、倒産、所属機関の基準不適合など、具体的に説明します。

・「特定技能所属機関による特定技能雇用契約に係る届出」

特定技能外国人の雇用契約を終了したことを報告するための書類です。

会社都合退職の際の届出先と提出方法

届出書類のフォーマットは?

会社都合による退職でも、提出する書類は「受入れ困難に係る届出書」と「受入れ困難となるに至った経緯に係る説明書」の2種類です。どちらも PDF版とExcel版のフォーマット が用意されています。内容は同じなので、入力しやすいほうを選びましょう。

届出先は?

提出先は、外国人を雇用していた企業の本社(または本店)所在地を管轄する 出入国在留管理局 です。管轄は地域ごとに分かれているため、事前に自社所在地を担当する管理局を確認しておくと安心です。

提出方法は?

オンライン(電子届出システム)、郵送、窓口持参の3通りのうち、いずれかの方法で提出します。

届出期限について

・本人都合の場合は、退職してから14日以内
・会社都合の場合は、受け入れ困難が確定した日から14日以内

に提出する必要があります。

▶『特定技能関係の申請・届出様式一覧』|出入国在留管理庁

届出を怠ったらどうなる?届出をしなかったときの注意点

特定技能外国人が退職した際、受入れ企業には出入国在留管理庁へ届出を行う義務があります。この手続きは、外国人が安心して働ける環境を保ち、制度を適正に運用している企業であることを示すために、とても大切なものです。

もし、退職や契約終了の届出を怠る、記載内容に誤りが多い、支援を怠る、賃金未払いがあるなどの不備が確認された場合、その企業は外国人を受け入れる資格を満たさない、つまり「欠格事由」に該当するおそれがあります。

これに該当すると判断された場合、受入れ企業は一定期間、特定技能外国人の受け入れができなくなる場合や、罰金、過料の対象となります。また、外国人本人の在留資格の取得や更新など、申請に影響する恐れがあります。

正しい届出と期限を守ることは、企業に対する信頼にもつながります。制度を理解し、適切な手続きを行うようにしましょう。

特定技能外国人が退職する際のよくあるトラブルと対策方法

特定技能外国人が退職する際に、よくあるトラブルをケース別にご紹介します。

ケース①住民税などの徴収に関するトラブル

退職後の住民税などの納付方法について、企業側は「一括徴収」をするつもりでいたが、退職者本人は「月ごとに支払う」つもりでいたためトラブルになるケースです。住民税の一括納付は大きな金額になりますので、退職者本人としっかり確認をしておく必要がありますが、日本語がうまく通じておらず「一括徴収されるなんて知らなかった」というケースがよくあります。

対策としては、伝え方が難しいことを前提に、ネイティブスタッフがいる登録支援機関に依頼をしましょう。

ケース②社宅・寮退去後の現状復帰費用に関するトラブル

社宅・寮を退去後の物件の現状復帰に関する費用を、企業側が負担するのか退職者本人が負担するのか確認できていないケースです。実際に現状復帰にかかった金額や、不要物の処分費用などを物件契約者に請求されることがほとんどです。退職者本人が退去後に費用を請求される場合があることを把握しておらず「払いたくない」と言われ企業側とトラブルになることがあります。

対策方法としては、日本での物件退去時の慣習についても事前にしっかり伝え、概算費用を退職月の給与から天引きし、残ったお金を退職者本人に振り込む方法があります。

▶特定技能外国人との間で起こりやすいトラブルと解消方法を詳しく知りたい方はこちらをチェック!

特定技能外国人 退職時の対応一覧表

外国人を雇用していた企業の本社(または本店)がある所在地を管轄する出入国在留管理局に提出する資料

  自己都合による退職 会社都合による退職
届出書類
様式
受入れ企業 【退職後(退職日)から14日以内】
・特定技能雇用契約に係る届出書(参考様式3-1-2号)
※退職によって登録支援機関との契約が終了したり契約内容に変更がある場合
・支援委託契約の終了又は締結に係る届出書(第3-3-2号)
▶参照ページ|出入国在留管理庁
【退職が決まった日から14日以内】
・受入れ困難にかかわる届出書(参考様式第3-4号)
・受入れ困難となるに至った経緯に係る説明書(参考様式5-11号)
【退職後(退職日)から14日以内】
・特定技能雇用契約に係る届出書(参考様式3-1-2号)
▶参照ページ|出入国在留管理庁
退職者本人 【退職後(退職日)から14日以内】
・所属機関に関する届出(参考様式1-4(契約の終了))
 
その他必要な支援 雇用保険の加入期間が離職の日以前の2年間のうち12ヶ月以上ある場合、失業保険を受け取ることができることを案内する(ハローワークを案内) 日本での就労意向がある場合はハローワークや職業紹介につないであげる

外国人が勤務する事業所や施設(店舗・工場など)の住所を管轄するハローワークに提出する資料

  雇用保険の被保険者でない場合 雇用保険の被保険の場合
届出書類 外国人雇用状況の届出(様式第3号) 雇用保険被保険者資格喪失届
届出期間 退職した翌月末まで 退職翌日から10日以内

まとめ

特定技能外国人の退職についての関心が寄せられています。退職時に焦ったり、トラブルにならないように事前に確認し対策をしておきましょう。また、特定技能外国人が長く働き続けられるように定着に関する支援や、制度面をしっかり整えておくことも必要です。どのような対策をしたら良いかわからない場合はマイナビグローバルへぜひ相談してみてください。

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