【2025年度】外国人労働者市場の“分岐点”に!雇用状況最新データが示す大きな変化を解説

執筆者:

㈱マイナビグローバル 代表取締役 社長執行役員/杠元樹

厚生労働省から『「外国人雇用状況」の届出状況まとめ(令和7年10月末時点)』が公表されました。この1年間の外国人雇用状況の詳細が明らかになり、ここ数年の外国人労働者市場の変化が更に加速している現状がはっきりしました。

例えば、長らく日本の外国人労働者数を牽引したベトナムの増加ペースが鈍化し、中国からベトナムへと続いてきた主要国の流れがついに転換しました。代わってインドネシアやミャンマー・ネパールといった国々が存在感を強めています。日本や諸外国を取り巻く環境の変化が、外国人労働者に大きく影響していることが伺えます。

2025年7月の参議院選挙以降、外国人政策がキーワードの一つになりましたが、250万人に及ぶ外国人労働者を一括りにして捉えるには少々無理が生じているのではないかと思います。外国人労働者の近況を正確に読み取るためにも、国籍・在留資格・職種などの視点から詳細に解説します。

▶2024年度の解説:外国人労働者数の伸び幅は過去最多!外国人雇用状況や背景・推移を徹底解説

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外国人労働者の年間増加数、26万人超えで過去最多。日本の就業者増加数(52万人)の52%に

2025年、外国人労働者総数は250万人を突破し過去最多となりました(対前年増加率11.7%増)。
同時期の日本全体の就業者の3.7%を占めます。年間増加数も過去最多の26万人超えとなり、日本全体の就業者増加数(約52万人)の52%を占めるに至っています。

諸外国の賃金上昇や円安の影響により「日本は選ばれなくなった」という見方とは裏腹に、この1年間で外国人労働者数は大幅に増加しました。日本の生産労働人口の減少下において、すでに外国人労働力が重要な位置を占めていることが改めて示されたといえます。

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【国籍の変化】主役が交代。最大の増加国がインドネシアに

2025年の一番の変化は、ベトナム依存の時代が転換期を迎え、新興国(インドネシア・ミャンマー・ネパール)の存在感が拡大した点にあります。

ベトナムの勢いが停滞し、その他東南アジア国籍の増加という流れはここ数年の変わらない傾向です。

2025年度はベトナムの増加ペースにより強いブレーキがかかり、単年増加数は3万5,198人、対前年増加率は6.2%にとどまりました
コロナ禍の影響があった2020年から2022年を除き、単年でのベトナムの増加数が5万人を割り込むのは2015年以来の低水準です。
また、ピークであった2019年の増加数の41.7%まで落ち込む数字となります。

一方で、2025年度は、ここ数年大幅に増加したインドネシア・ミャンマー・ネパールの伸びがより顕著となりました。
各国の単年増加数が約5万人となり、3カ国(インドネシア・ミャンマー・ネパール)が初めてベトナムの増加数を上回りました
この3カ国で増加数全体の57.9%を占めています。

また、単年増加数が最も多い国籍は、ベトナムからインドネシアに移り変わりました

統計が確認できる2009年から2011年までは中国、2012年以降はベトナムがトップの位置にありましたが、この流れが移り変わり、中心国がベトナムからインドネシアにまた変化しました。

同時に、外国人労働者全体に占める国籍割合(シェア)も変化しています。

2024年から2025年にかけて、ベトナムは24.8%→23.6%(前年比1.2pt減少)と比率が低下しています。
一方、ネパールは8.1%→9.2%(前年比1.0pt上昇)、インドネシアは7.4%→8.9%(前年比1.5pt上昇)、ミャンマーは5.0%→6.4%(前年比1.4p上昇)と変化しました。

この大きな変化の象徴として、技能実習の在留者数の変化があります。

長きにわたり技能実習の中心であったベトナムは前年割れとなり、対前年増加率はマイナス2.1%となりました。
一方で、インドネシアは28.3%増、ネパールは40.4%増と、大幅に増加しています

これは、長い教育時間を必要とし、賃金水準の低さや労働環境の厳しさが指摘されるなかで、技能実習生をベトナムで確保することが難しくなっている現状を表しています。

ちなみに、ミャンマーについては、在留者数全体では前年から42.5%と高い伸びを示しているにも関わらず、技能実習に限ると9.2%増にとどまっています。その理由ですが、情勢不安で海外への出国意欲が高い中で、教育時間がかかる技能実習生よりも短期間で入国できる特定技能や留学を選ぶ傾向があることが要因だと考えられます。

ベトナムは経済成長が続き、日本の円安とも相まって日本との賃金差が縮小していますが、一方で、インドネシア・ミャンマー・ネパールは依然として現地の賃金水準が低いままです。特に、ミャンマーは政治情勢の不安定さが現地の経済不振を招いています。このような背景から、日本での就労に魅力を感じている人が増えています。

こうした各国の賃金水準の変化、日本の円安、現地の政治情勢を含めた国際情勢の変化が、日本の外国人労働者数にも大きな変化をもたらした1年となりました。

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【在留資格別】特定技能の増加、技能実習は停滞局面

次に、在留資格別の変化です。
全ての在留資格で前年から増加していますが、特に増加しているのが特定技能です。

▶関連記事:在留資格とは?29種類一覧でやさしく解説|日本のビザ種類・違いまとめ

在留資格別では、特定技能が対前年増加率38.3%と大きく伸び、単年増加数も79,230人と過去最高を更新しました
政府が設定した2028年度までの約80万人という受け入れ上限数に対しても、現時点では堅調なペースで増加が続いています。

一方、2027年に育成就労に制度が切り替わる技能実習は停滞局面に入っています。

技能実習は499,394人と最も在留数の多い在留資格ですが、対前年増加率は6.1%増にとどまり、単年増加数は3万人を下回ります

特定技能との単年増加数の逆転は2022年から始まりましたが、この傾向にさらに拍車がかかった状況です。

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その他の在留資格では、特定活動が対前年増加率29.6%増と目立ちます。これは、ミャンマーの帰国困難に伴う緊急避難的な措置による増加が影響しています。
また、留学や技術・人文知識・国際業務も平均を上回る増加となっています。

▶関連記事:留学生がアルバイトをするために必要な「資格外活動」とは?

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【在留資格別×国籍】 インドネシア・ミャンマー・ネパールは特定技能が大きく増加

在留資格を国籍別にみると、特定技能は全体の伸びと連動して多くの国で増加しています。その中でも、特定技能のインドネシア(対前年増加率58.9%増)・ミャンマー(71.1%増)・ネパール(83.0%増)の伸びが突出しています。
この3カ国は全体の増加率・増加数でも上位3カ国であるため、外国人労働者全体の国籍別増加は、特定技能の動向が大きく影響していることがわかります。

留学においては昨年に引き続き、中国・ベトナムが減少しましたが、2025年度はフィリピンも減少に転じています。一方で、ミャンマー・ネパールは大幅に増加しています。
中国・ベトナム・フィリピンは経済発展により、労働目的の留学生の減少が要因する一方で、ネパール・ミャンマーは入国までの時間的ハードルの低さから、労働目的の留学生も引き続き多く存在していることが国籍別の差に出ていると考えられます。

【業種別】介護・建設の増加傾向が続く。宿泊・サービスも増加

業種別の傾向は例年同様で、大きな変化はありません。介護・建設の増加率が引き続き高い状況が続いています。
また、ここ3年の増加傾向でみると、宿泊・サービスの増加が目立っています。これは、訪日観光客(インバウンド客)対応ニーズの高まりが背景にあると考えられます。

【関連記事】
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【業種×国籍】一般的なイメージとの乖離 介護はインドネシア、宿泊業、飲食サービス業もネパールが最多

国籍別の増加数の変化に伴い、業種ごとの国籍傾向にも変化がありました

業種によって特定の国籍が多いという一般的なイメージがあるかと思います。例えば、小売・宿泊・飲食店は中国、介護はフィリピンやベトナム、建設はベトナムなどです。これらのイメージと実態が変わりつつあります。

医療・福祉は長らく最多であったベトナム・フィリピンの割合が減少に転じ、インドネシアが19.3%と最も多い国籍となりました。2008年からスタートしたEPA(経済連携協定)に基づく外国人介護福祉士候補者の受け入れや、永住権を多く持つフィリピンの活躍で、「介護はフィリピン・ベトナム」というイメージがいまだに根強いですが、実態は異なっています。また、ミャンマーも15.2%から18.7%へと増加しています。

宿泊・飲食サービス業ではネパールが最多となりました。長きにわたり中心であったベトナム・中国が減少したことが要因です。同時に、宿泊・飲食サービス業でもミャンマーの存在感が高まっています

建設業は、引き続きベトナムが36.1%と最多ですが、前年より3.3pt減少しました。一方で、インドネシアが4.4pt増加し、25.0%を占めています。

現段階では、比較的賃金水準が低い業種において国籍の変化が加速している状況ですが、製造・情報通信業においても国籍別の増加率は逆転しています。割合についても近い将来変化していく可能性があります。

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【都道府県別】九州・北海道の増加に加え、関西の増加が目立つ

都道府県別に外国人労働者数の動きを見ると、近年の傾向と同様に九州・北海道の増加が目立っています。

また、2025年は大阪・関西万博(EXPO 2025)による影響で、関西の対前年増加率が著しく高い結果となりました。
対前年増加率上位20位のうち、5件が関西、九州・沖縄は福岡を除く7件がランクインしています。

都道府県別の傾向を業種別にみると、医療・福祉の増加率上位20件のうち14件が全産業計と被っています。

建設も同様で、全体の増加率上位20件のうち、15件が全産業計と重複しており、主に介護と建設の増加がそのまま各都道府県別の増加に繋がっていることがわかります。

また、宿泊業、飲食サービス業の増加率上位20件のうち、観光庁の宿泊統計調査「令和6年の外国人延べ宿泊者数」の対前年増加率上位20と重なる都道府県が10件(大阪府、京都府、福岡県、千葉県、長野県、石川県、岐阜県、熊本県、香川県、和歌山県)あり、インバウンドニーズの増加に対応する形で宿泊・サービスの外国人労働者が増加していることがわかります。

【まとめ】2025年以降、企業が向き合うべき外国人労働者市場の変化

2025年の外国人労働者市場は、ここ数年続いてきた変化が一段と加速した年でした。外国人労働者はすでに日本の労働力を支える重要な担い手であり、とりわけ地方エリアの人材不足を補う重要な選択肢となっています。特に特定技能は受け入れの主軸となりつつあり、今後は「採用できるか」だけでなく、「どのように活用し、どのように定着を進めるか」が企業にとって重要なテーマとなります。

また、2025年の大きな特徴は国籍の変化であり、従来の中心であったベトナムからインドネシアをはじめとする新たな国々に拡大しています。国際情勢の変化など、市場全体の動きの背景を踏まえて自社に適した採用対象国を検討する視点が、今後ますます重要になります。

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