建設業の人手不足|対策方法や当たり前といわれる理由を解説
建設業における人手不足が、年々深刻化しています。迫る2025年問題や建設業界の持つ、いわゆる「3K」のイメージなど、建設業を避ける人も多いことが課題です。
しかし、人手不足の解決策は、色々な方向から働きかけることができます。この記事では、建設業の現状や問題点から、解決策まで解説します。
特に、「できるだけ早めに人材が欲しい」と考えている企業にとって必見の内容となっています。
目次
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建設業における人手不足の現状
現在、建設業では人手不足が深刻な問題となっています。建設業の人手不足の現状を、データを基に見ていきましょう。まずは有効求人倍率の高さから解説します。2025年5月の一般職業紹介状況(いわゆるハローワークの求人)では、全産業平均が1.24倍なのに対し、建設業にカテゴライズされる建築・土木・測量技術者の有効求人倍率は4.93倍、建設・採掘従事者の有効求人倍率は4.81倍となっています。
2024年上半期雇用動向調査結果では、欠員率は5.4%と全産業でトップとなっていることからわかる通り、求人をいくら出しても人が来てくれないのが現状です。
深刻な人手不足が重なった結果、建設業者の人手不足による倒産が増加しています。東京商工リサーチの調査「2024年1-12月建設業倒産状況」によると、2024年の建設業の倒産は1,924件に達しました。昨年比で1.4倍にもなっており、全産業でトップの数字です。このことからもわかる通り、人手不足は建設業界の大きな課題です。
さらに、2025年には団塊世代が定年を迎える、いわゆる「2025年問題」の影響も見逃せません。2025年には建設業の人材が約90万人不足すると予測されており、今後も事態は深刻化するでしょう。
建設業の人手不足が当たり前と言われやすい4つの理由
建設業の人手不足が当たり前と言われやすいのには4つの理由があります。
- 人材の高齢化と若手不足
- 長時間労働
- 年間休日が少ない
- 3K(きつい・汚い・危険)のイメージが根付いている
順に説明していきます。
①人材の高齢化と若手人材の不足
建設業界の人材不足には、まず人材の高齢化と若手人材の不足が影響しています。新卒採用が難しく、若年層の人材確保に苦戦している状況です。
総務省が行った「労働力調査」によると、過去20年間で29歳以下の若年層が約88万人から約56万人に大きく減少しているにもかかわらず、65歳以上は37万人台から80万人台へと大幅に増えています。2024年には55歳以上が約37%、29歳以下が12%を占めており、高齢層の割合が著しく高いことがわかります。
さらに、2025年には団塊世代が全員75歳以上の後期高齢者となる、いわゆる「2025年問題」に直面してしまう課題を抱えています。
②長時間労働
ワークライフバランスを重視した働き方に変わりつつある現代で、建設業界の長時間労働は、人手不足に大きな影響を与えています。日本建設業連合会が厚生労働省「毎月勤労統計調査」をもとに集計したデータによると、2024年時点での建設業界の年間労働時間は、1,943時間と年々減少していますが、全産業の平均と比較すると約230時間多くなっています。
一方で、「令和5年若年者雇用実態調査の概要」によると、若年正社員の転職希望理由のうち50.0%は「労働時間・休日・休暇の条件がよい会社にかわりたい」と回答しており、長時間労働を避ける傾向にあるのがわかります。
ワークライフバランスを重視する若年層にとって、長時間労働の傾向がある建設業界は敬遠されやすい業界である可能性が高いと言えるでしょう。
③年間休日が少ない
年間休日が少ないことも、建設業の人材不足の要因の可能性が高いと言えます。厚生労働省の「毎月勤労統計調査」によると、2024年の建設業の年間出勤日数は238日で、調査産業計に比べて26日多い結果となっています。実質1カ月多く働いているような状態です。ワークライフバランスを重視する若者が多くなってきた昨今、建設業は選択されにくくなっています。
建設業界もこれは問題視しており、週休2日の実現に向けた取り組みが行われています。しかし、工期の短さなどを理由に、依然として週休1日で働いている人も多いといわざるをえません。
ただ、2024年から働き方改革が建設業でも推進され、国土交通省が週休2日制を推奨するなど、変化の兆しが表れてきています。
④3K(きつい・汚い・危険)のイメージが根付いている
3Kとは、「きつい」「汚い」「危険」をローマ字で書いた場合の頭文字「K」からとった言葉です。建設業には、この3Kのイメージが根強く残っており、職業として選ばれにくい要因の一つになっています。
実際、建設業における労災は他産業と比較して多い傾向にあります。厚生労働省労働基準局が発表した「令和5年労働災害発生状況」では、建築業において労災で亡くなった人は223人で、他の業種よりも多い数字です。しかし、2022年と比較すると2023年は約20%減少していました。
また、国土交通省は新3Kとして「給料がよい」「休暇がとれる」「希望がもてる」へイメージ改善を行うために改革を行っています。
【新3Kの実現への取り組み】
| 新3K | 取り組み |
| 給料がよい | 日本建設業連合会による「労務費見積り尊重宣言」:労務費を見積書に内訳を明示する取り組み |
| 休暇がとれる | 週休2日を確保できるよう適切な工期設定 |
| 希望がもてる | 好事例の横展開(「i-Construction大賞」の取り組み)で建設生産システム事例の共有、生産性の向上 |
このように、業界全体で3Kのイメージを変える動きが活発になっています。
日本の人手不足の原因と解決策については以下の記事でも詳しく解説しています。
企業として人手不足を解決するために対策できること
これまで解説したのは、国や団体単位での建設業界の人手不足解消の動きです。次からは、人手不足対策として、企業ができることを解説します。
ICTやデジタル技術を活用し、業務を効率化
現在、建設業界ではICT技術を活用した改革が行われています。国土交通省はBIM/CIMを推進し、紙ベースで管理されていた工事に関する情報をデジタル化することで効率化を図っています。
積極的にICT技術を導入することで、労働生産性の向上や安全性の確保が可能になります。これらにより、労働環境が改善することで、人手不足の解消につながることが期待できます。
労働環境の改善
年間休日の増加や長時間労働の是正などの労働環境の改善も、人手不足を解決する方法のひとつです。
また、社会保険への加入を徹底することも重要です。現在、社会保険未加入の建設企業は建設業の許可・更新を認めない仕組みがありますが、社会保険未加入の建設業者が存在する場合もあります。労働者を社会保険へ加入させることは、社員を守るためにも必須です。
働き方改革を推進することで、労働環境の改善につながります。具体的には、週休2日制、適切な工期設定や育児・介護休暇などを考慮した柔軟な働き方などにより、人材確保と定着につながることが期待できます。
外国人の採用
外国人の採用を検討することも、建設業の人手不足解決方法のひとつです。
外国人採用のメリットとしては、海外にいる外国人を採用する場合、企業の知名度や立地を気にしない人が多いことが挙げられます。また、労働人口が増加している国も多く、採用できる母数が多いこともメリットです。
実際に、建設業では多くの外国人が働いており、全産業の中で5番目に多い業種です。
令和6年10月末時点の「外国人雇用状況の届出状況まとめ」によると、外国人労働者の7.7%が建設業で働いています。
外国人採用を通じて人手不足の解消を図る企業は、今後も増加することが予想されます。
建設業で働ける外国人はどんな人?
外国人を雇用する場合は、その外国人が建設業で働くことができる在留資格を所持しているかどうかの確認が必要です。在留資格とは、日本に滞在することを認める資格のことで、日本で働くことができる在留資格もあれば、働くことができない在留資格もあります。また、どんな仕事ができるかも定められている在留資格もあるので注意が必要です。
建設業で働ける外国人の代表的な在留資格は、「技能実習」「特定技能」「技術・人文知識・国際業務」の3つです。
これら3つの在留資格の違いは、以下の表の通りです。
| 行う業務の制限 | 在留期間 | 日本語能力の要件 | 永住権が取得できるか | |
| 技能実習 | あり。詳細に決まっている | 最長で5年 | 特に規定なし | 不可 |
| 特定技能 | ほぼなし | 1号は最大5年。 2号ならば更新回数の制限なし | 日本語試験に合格する必要あり | 2号ならば可能 |
| 技術・人文知識・国際業務 | 単純作業不可。 施工管理など高度な知識が必要な業務のみ | 更新回数の制限なし | 特に規定はないが、業務に日本語能力が必要なら日本語試験の受験が必要 | 可能 |
上記の表のように、「技能実習」と「技術・人文知識・国際業務」は行える業務の範囲が限定的です。一方、特定技能では業務内容が厳しく取り決められているわけではないので、日本人のように幅広い業務を行い、戦力となってほしい場合は、特定技能外国人の採用をおすすめします。
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特定技能「建設」とは
特定技能「建設」には、土木、建築、ライフライン・設備の3区分があります。これらの3つには、いずれも特定技能1号と2号の2種類があります。
特定技能「建設」については、こちらの記事で詳しく解説しています。
▶特定技能「建設」を徹底解説|建設業で外国人材を採用するためには?
特定技能外国人を採用する方法
建設業における特定技能外国人の採用方法を解説します。ちなみに、建設現場の作業員の有料職業紹介は職業安定法で禁止されているので、注意しましょう。
受け入れ企業が満たすべき要件
特定技能外国人を採用するために、受入れ企業が満たすべき条件が4つあります。この4つの条件は、業種問わず共通しているものです。
- 外国人と結ぶ雇用契約を適切であること
- 受入れ企業自体が適切であること
- 外国人を支援する体制があること
- 外国人を支援する計画が適切であること
また、建設業の場合は上記にプラスで要件があります。次で解説します。
建設分野の特定技能協議会(JAC)に加入する
特定技能外国人を雇用する場合は、特定技能協議会へ加入する必要があります。建設業の場合は、建設分野の特定技能協議会(JAC)へ加入することになります。JACに加入すると年会費に加え、受け入れ負担金として、毎月特定技能外国人1人につき12,500円を支払う必要があります。
詳細については、こちらの記事で詳しく解説しています。
▶特定技能「建設」を徹底解説|建設業で外国人材を採用するためには?
建設業独自の受け入れ基準
特定技能外国人を雇用する際、建設業界特有の基準も存在します。特定技能外国人を雇用するには「建設特定技能受入計画」について、その内容が適当である旨の国土交通大臣の認定を受けている必要があります。
その際の審査基準は、以下のとおりです。
- 同一技能の日本人と同等額以上の賃金を支払うこと(同一労働同一賃金)
- 特定技能外国人に対して、月給制により報酬を安定的に支払うこと
- 建設キャリアアップシステム(CCUS)に登録していること
- 1号特定技能外国人(と外国人建設就労者)の合計の数が、常勤職員の数を超えないこと
様々な基準や決まりがあり、複雑と感じるかもしれません。しかし、特定技能外国人を雇用するために必要なことなので、ひとつずつ要件をクリアしていきましょう。
人手不足対策は早い動き出しが大切
建設業の人手不足は、2025年問題に直面することでさらに深刻化するでしょう。解決方法として、ICTや労働環境の改善などで離職率を防ぐことも大切ですが、人材をどう確保するかも重要な視点です。
しかし、国内だけで人材を確保するのは年々難しくなっています。国内の人材のみを頼りにするのはリスクがあり、現実的な手段として外国人材の活用が有効といえます。
なかでも、特定技能外国人は日本人と同様の働き方ができます。人手不足対策には特定技能外国人の採用を検討してみてはいかがでしょうか。









