急増した介護分野の特定技能外国人……本当の価値とは?人材紹介会社にホンネを聞いてみた

介護分野の特定技能外国人価値とは
執筆者:

外国人採用サポネット編集部

2021年ごろから急激に数を増やした「特定技能」は、対象14職種のうちとりわけ介護分野で大きく受け入れ人数を伸ばしました。
介護分野ではなぜここまで受け入れが伸びたのでしょうか。

介護分野における特定技能外国人の雇用メリットについて、外国人材紹介を行う株式会社マイナビグローバルの代表取締役社長 杠元樹に話を聞きました。

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特定技能は国内在住者の雇用も可能な「労働のためのビザ」

——昨今人数を急速に伸ばしている在留資格「特定技能」ですが、どんな在留資格ですか?

杠:「特定技能」は ❝ 労働のためのビザである ❞ ということが特徴の在留資格です。

日本人介護士同様に働くためのハードルが下がり、より多くの外国人が活躍できるようになりました。介護分野はかなり以前から人材不足が顕在化していたため、特定産業分野に指定され、特定技能の1分野となりました。

2008年からEPAの介護福祉士候補者の受け入れがスタートし、2017年9月に在留資格「介護」、同年11月に技能実習制度が創設されていますが、これらは人手不足の解消を目的に創設されていないため、人手不足解消の期待に応えることは難しいものでした。「EPA介護福祉士」や「介護」は受け入れ施設からの人気が高い一方、人数供給に限界があり、逆に技能実習は人数確保は容易ですが業務制約の多さが課題となりました。介護職の業務内容はマルチタスクで、柔軟な対応が求められるからです。

これらの課題から、2019年に人手不足解消を目的とした「特定技能」が創設されたわけです。日本人同様に活躍してもらえるよう、「従事可能な業務の範囲が広い」「入職後直ぐに人員配置基準に算定される」といった特徴を持ち、さらに「国内在留者も受け入れ対象となる」ことで人手不足に対応しやすくなっています。

介護分野における在留資格の主力は特定技能へ

——介護分野全体での外国人材の受け入れは増えているのでしょうか?

杠:介護分野全体での受け入れは急増しています。外国人雇用状況の届出状況特定技能在留外国人数(速報値)によると、2021年10月末時点では技能実習生が10,247人(対前年157%)、特定技能が4,029人(対前年992%)です。2021年も技能実習が最も多くなっていますが、特定技能「介護」は2022年1月~3月の直近3ヵ月でも136%の増加を見せています。

このペースで進捗すると2023年3月末には39,000人に達し、技能実習の在留数人数を超える可能性がでてきました。

外国人雇用状況の届出状況特定技能在留外国人数(速報値)からマイナビグローバルが作成

現時点では技能実習が多いですが、今後の動向は変わってくるでしょう。伸び率とシェア率において、特定技能の急増には目を見張るものがあります。ちなみに特定技能介護分野の受け入れ人数目標(2024年4月1日まで)は、60,000人です。また、特定技能介護分野の試験合格者数も2022年3月末時点で18,159人に達しており、対前年で208%増加という伸び率を見せています。

外国人雇用状況の届出状況特定技能在留外国人数(速報値)からマイナビグローバルが作成

2022年3月末時点の特定技能「介護」の在留数は7,019人です。つまり試験合格者のうち30~40%しか働いていないということを意味し、介護人材のストックという面でも、今後の特定技能の増加が伺えます。将来的に介護分野での主力の在留資格は特定技能となっていくでしょう。

特定技能外国人の採用をワンストップ支援!

——では特定技能の介護分野で働く外国人が増えているのはなぜでしょうか?

杠:特定技能には3つのメリットがあります。介護事業者からこれらのメリットによって採用ハードルが下がり、受け入れを決めたと伺うことが多いです。介護分野での特定技能外国人が増えた要因と言えます。

<3つのメリット>

① 特定技能は採用の候補者が多いので応募が集まりやすい

② 国内在住者は日本での生活経験があり、一定の日本語力をすでに持っている

採用活動期間が比較的短い

メリットの1つ目は、特定技能は「採用の候補者が多いので応募が集まりやすい」ということです。

前述の通り介護の試験合格者数は急激に増えています。これは、特定技能の介護分野における試験が非常に多いことが要因です。これにより、採用候補者の数が豊富な状態です。現在は、試験に合格すれば、技能実習生が別分野へ職種変更することも可能となっており、このルートからの特定技能外国人も急増しています。さらに、就労ビザ「技術・人文知識・国際業務」の取得が難しい状況で就職先を探している日本語学校・専門学校の留学生が特定技能に移行するケースも徐々に増えてきました。

一方、在留資格「介護」は施設からの需要に対して対象者が少なく大量の受け入れには向きませんし、競争率は高くなります。EPAは海外からの採用ではありますが、技能実習とは違い受け入れ人数はわずかです。

メリットの2つ目は「国内在住者は日本での生活経験があり、一定の日本語力をすでに持っている」ということです。

介護職は単純作業だけでなく、利用者とのコミュニケーションや現場の介護職員とのチームワーク、緊急時の判断などの柔軟な対応が求められ、一定の日本語力と日本生活の経験・アルバイトなどの就労経験が非常に重要になります。外国人材の受け入れ未経験の事業者であれば、まずは国内在住の外国人材の採用から始めると抵抗なく受け入れられるでしょう。

もう一歩踏み込んで継続的な採用計画を立てるのであれば、外国人雇用の核となるべき人材を国内在住者から採用し、外国人職員と日本人職員の架け橋となる人材として教育後に海外現地から必要な人材を採用するという形をおすすめしています。

3つ目のメリットは「採用活動期間が比較的短い」ということです。

特定技能では国内在住の外国人を採用することも可能なため、海外在住者から採用するよりも採用スケジュールが短くて済みます。

人手不足によって採用活動に積極的な事業者は、小規模経営が多いという問題があります。小規模事業者の場合、採用専任の担当者がいないことも少なくはないため、採用活動に長時間を費やすことができないのです。国内在住者であればスピーディーに採用面接まで進められ、採用後は現場スキルの教育のみに注力できます。すぐに戦力化しやすいということです。

このようなメリットから特定技能の採用ハードルが低くなり、特定技能の受け入れ増加へと繋がっています。特定技能外国人の増加には、現場の状況との親和性も深く関係しているでしょう。

コロナ禍の影響によって、採用者・求職者双方の価値観や視点は変化したのか

——新型コロナウイルスの流行がありましたが、外国人労働者の採用に関してはどのような変化がありましたか?

杠:今後は海外からの現地採用の選択肢も増えてきますが、入国制限が長く続いたことによって採用側の視点は、特定技能外国人の「海外現地採用」から「国内在住外国人」に向くことになりました。前述したように、日本語での生活経験・日本語力・就業経験に価値を感じて「近くにいい人材がいる」ことを察知した介護事業者様が増え、元留学生や元技能実習生の特定技能外国人を雇用するケースが増えています。

また、特定技能外国人の採用活発化により、求職者側の介護職・特定技能への理解が一気に広がりました。介護職は経験や資格取得に比例してキャリアアップできること、他職種と比較して教育体制や受け入れ体制が整っていることも、外国人にとって好意的に捉えられています。

——特定技能外国人を受け入れる企業は雇用した外国人への支援が義務化されています。受け入れ側の負担が増えると感じる方もいるのでは?

杠:登録支援業務の「支援計画の履行」という特定技能制度の特徴については、理解が進んでいないケースが多々あります。技能実習生の受け入れ経験のある事業者様からは、「また費用ばかりかかって、正直高い」というお声や、外国人採用未経験の事業者様からは「必要性がよくわからない」というお声をいただきます。ただ、登録支援業務は必然的に発生するサポート業務を「登録支援機関」に外部委託できる制度であり、企業の負担になるわけではなく、むしろ受け入れ企業側をサポートできる制度とも言えます。

外国人本人の在留資格や登録支援業務を委託するかしないかに関係なく、ある程度のフォローは必ず発生しますし、そのサポート次第で本人のパフォーマンスは変わってきます。サポート業務を登録支援機関に委託することで、在留資格申請・入職までの事務的フォロー・生活のためのレクチャー・生活基盤サポート・入職後の精神面・生活面での相談など、一連の業務をオフィシャルに外部へ委託することができます。

言い方は悪いかもしれませんが、これらサポート業務を外部に「丸投げ」できるので、現場ではスキル教育に集中することができます。登録支援機関に委託することで、採用の導入ハードルは著しく低くなった、と言えるでしょう。

▼登録支援機関とは? 詳しくは以下の記事からご覧ください。

マイナビグローバルでは特定技能外国人の紹介だけでなく、面談の設定、在留資格取得のサポート、登録支援機関としての支援業務まで、トータルで介護施設をサポートしています。詳しくはこちらから。

——ここまで「特定技能」のメリットについて聞いてきましたが、「特定技能」以外の在留資格を選択したほうが良いケースはありますか?

杠:先述の通り「特定技能」には人手不足を解消するための様々なメリットがあります。人手不足解消のための雇用を目的としているのであれば、あえて避ける必要はないと思います。ただ、スキルのある介護の有資格者は「特定技能」を選択しませんし、経験者も現時点では多くはありません。どうしても介護福祉士などの有資格者を必要とする場合は、採用難易度は高くなりますが在留資格「介護」取得者を敢えて狙うという選択もあると思います。

また、採用したい人数が多い場合や、就業エリア・給与などの条件が厳しい場合は、国内在住の特定技能外国人の採用が難しいこともあります。この場合、特定技能外国人の海外現地採用や技能実習を選択することも1つの手段かと思います。

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外国人採用の大きな壁「現場の日本人職員の理解」は最重要

代表取締役社長  杠元樹

——外国人職員を雇用する際、事前に注意すべき点を教えてください。

杠:介護職が他職種と異なる点は、マルチタスクで多方面の方とのコミュニケーションが必要な仕事であることです。コミュニケーションの取り方は育った環境によって大きく異なります。外国人本人が日本の文化を知ることも大事ですが、外国人の定着・活躍には日本人職員の理解・コミュニケーションが欠かせません。実際に、外国人職員と日本人職員の間で起こる問題はコミュニケーションを原因とした「誤解」「思い込み」が積み重なることによる人間関係の悪化が要因であるケースが多いです。

外国人職員の採用を迷われる事業者様からは外国人職員がすぐ転職するのではないかを危惧される方もいらっしゃいますが、「なぜ外国人採用が必要なのか」や「どのようにコミュニケーションを取ったらよいのか」等は介護現場で働く日本人職員側が事前に理解することが、外国人職員が定着・活躍するかの重要なキーになります。

外国人職員の定着を懸念される事業者様にはぜひ日本人側のマインドセットも重要であることを知っていただきたいです。

マイナビグローバルでは日本人職員向けの外国籍介護人材受け入れ研修を行っています。詳しくはこちらから資料をダウンロードしてご覧ください。

どの在留資格を選択するかではなく、特定技能でどんな人物を採用したいのか

——これから特定技能外国人の採用を検討する方に伝えたいことはありますか?

先ほどもお伝えしましたが、特定技能の重要なポイントは、対象者の人数が多く、特定技能へ変更する以前の在留資格が様々であるということ。また、それによって、外国人本人の経験が多種多様であるということです。

技能実習生(介護以外)・留学生の他に、今後は技能実習「介護」2号修了者も出てくるので、対象者は今後続々と増えていきます。これからは海外現地採用の特定技能の選択肢も広がるでしょう。日本語レベルが高い、3年間の職務経験がある、介護の実習経験がある、などそれぞれ経験によって特徴が異なり、採用難易度も異なります。

どの在留資格が良いのかという検討ではなく、特定技能のどういった人材を採用していくのかの検討が重要なポイントになっているので、その点も踏まえて採用人物像を検討いただきたいです

特定技能外国人のどんな人物を採用したいかがわからない、採用したい人物を集められないなどでお困りの場合は、ぜひマイナビグローバルへお問い合わせください。