ベトナム人を特定技能で雇用する方法を解説!独自ルールや費用は?

建設現場で働く特定技能のベトナム人
執筆者:

行政書士/近藤環

「特定技能」の在留資格で働くベトナム人が増えており、うちの会社でも雇用してみたい
と検討する企業が増えています。一方、「ベトナム人を雇用したいけど、具体的にはどんな手続きが必要なの?」「うちの会社の業務は、特定技能に該当するらしいけど複雑でよくわからない」という不安の声をよく聞きます。

今回は、特定技能でベトナム人を雇用する場合に必要な手続きや要件、注意点等について、行政書士が解説します。

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在留資格「特定技能」で働くベトナム人が増加中

日本に在留するベトナム人、特に「特定技能」で働くベトナム人が増加しています。令和2年6月末現在、日本にいるベトナム人の数は、420,415人に上り、日本にいる外国人全体の14.6%を占めます。

上位10か国のうち、他の国・地域では対前年末比で減少する中、ベトナムは唯一、対前年末比8,447人(2.1%)増となりました。

また、令和4年3月末現在、特定技能の在留資格を持つ外国人数は、64,730人と急増しています。そのうち、ベトナム人の総数は40,696人となっており、全体の6割以上を占めています。

「特定技能」で働くベトナム人が多い理由

これだけ「特定技能」で働くベトナム人が多い理由はなんでしょうか?

大きな理由として、技能実習生や留学生として来日した人が、特定技能の在留資格に変更するケースが多いことが挙げられます。

令和2年6月末現在、約40万人いる技能実習生のうち、20万人以上がベトナム人です。新型コロナウイルス感染症の影響で、その技能実習生が帰国できなくなり、日本で働き続けるために、特定技能の在留資格に変更するパターンが多く見られます。

また、留学生として来日しているベトナム人も6万人以上いて、ベトナムより給与水準の高い日本で働くために、特定技能の在留資格に変更する方も多くいます。

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そもそも、ベトナム人はなぜ日本で働くのか

それでは、なぜ日本で働くベトナム人が多いのでしょうか。

ベトナムと比べて日本は給料が高いこと、バイクや電化製品等の日本製品や日本のアニメ・マンガになじみがあり親日国であることが挙げられます。また、ベトナムと日本は地理的に近く行き来がしやすいことや、日本の法規制がしっかりしていて治安が良く暮らしやすいことも大きな理由の1つです。

日本で働くベトナム人急増の背景と理由について、詳しくは過去の記事を参照してください。

「特定技能」のベトナム人を雇用するメリットとは?

企業様の声などから、ベトナム人を雇用するメリットには以下のような点が挙げられるでしょう。

●第一印象が良い
一般的に朗らかで第一印象が良いため、採用したい、一緒に働きたいという気持ちになる採用担当者が多いようです。

●勤勉で手先が器用
一般的に、勤勉で手先が器用なことから、建設系、製造系、飲食系の分野で重宝されているケースが多いです。比較的日本の働き方に適応しやすいともいわれています。

●日本で働きたいという意思の強さ
日本で技術を身に着けたい、母国の家族のために稼ぎたいという意思の強い方が多いため、うまくなじめれば大きな戦力になるケースがあります。

特定技能のベトナム人を雇用するにあたって必要な費用

特定技能のベトナム人を雇用するにあたって必要な、代表的な費用は下記の通りです。

● 登録支援機関への支援委託料:毎月2~3万円程度 ※登録支援機関にお問合せください。

● JACへの受入負担金、加入費(建設分野のみ):数十万円程度 
※JAC及びJACに加入している全国団体、賛助会員にお問合せください。

● 出入国在留管理局への収入印紙代:4,000円

● 特定技能への在留資格変更許可申請の申請代行手数料(行政書士等に依頼する場合):数万円~ 
※行政書士等にお問合せください。
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ベトナム人を「特定技能」で雇用する方法

ベトナム人を「特定技能」で雇用するための要件には、ベトナム人側の要件と、会社側の要件があります。

雇用する会社側の要件

会社として、下記の要件を満たしているか確認してください。

1.同様の業務に従事する日本人と同等以上の給料を支払うこと

外国人であることを理由に、給料から不当な天引きをしていないこと。

ベトナム人だから、日本語が不自由だからといって、日本人よりも基本給を下げたり、手当を支給しなかったり、特別に費用を天引きしたりするのは認められません。日本人と同等以上の給料かどうかは、在留資格の審査を行う出入国在留管理局に厳しくチェックされますので、注意してください。

2.過去1年以内に解雇等の会社都合の退職者や行方不明者がいないこと

日本人・外国人に限らず、過去1年以内に解雇等の会社都合の退職者を出してしまった場合は、特定技能としてベトナム人を雇用ができません

また、会社の事情で行方不明者、失踪者を出してしまった場合も同様です。

3.過去2年間に外国人を支援した経験があること。もしくは、登録支援機関に支援を委託すること

会社として、過去2年間に、「技術・人文知識・国際業務」や「技能実習」等の就労を目的とした在留資格を持つ外国人を受け入れ、支援をした経験が求められます。もしくは、その会社の担当者が、過去2年間に上記就労を目的としたビザを持つ外国人の生活相談業務に従事した経験がある場合も認められます。

もしなければ、「登録支援機関」という特定技能外国人のサポートを専門とする会社に、毎月の支援を委託する必要があり、登録支援機関の選定や毎月の支援委託料の支払が必要です。

毎月の支援は、基本的には母国語で行う必要があるため、ベトナム語に対応した登録支援機関に委託しましょう。マイナビグローバルも登録支援機関として、ベトナム語でサポートすることが可能です。登録支援機関について詳しく知りたい場合は下記の記事をご覧ください。

4.該当する分野の協議会に加入すること

分野ごとに、協議会に加入する必要があります

例えば、建設分野であれば、「一般社団法人 建設技能人材機構(JAC)」、介護分野であれば「介護分野における特定技能協議会」、農業分野であれば「農業特定技能協議会」に加入が必要です。

一般的には、特定技能外国人を雇用後4カ月以内に加入すれば良いですが、建設業や製造業は、雇用前の加入が必要になる等、分野によって異なりますので、注意が必要です。

特定技能の制度について、概要は過去の記事を参照してください。

雇用するベトナム人側の要件

雇用するベトナム人が、1か2の要件を満たすか確認してください。

1.日本で技能実習2号を良好に修了している

日本で技能実習2号を良好に修了している場合、該当する業務区分があれば、日本語の試験や技能試験なしで、特定技能に移行することができます。特にベトナム人の場合は、このケースが多いです。

例えば、技能実習2号で「とび」の作業を修了している場合、「建設(とび)」の特定技能に移行でき、技能実習2号で「そう菜加工」の作業を修了している場合、「飲食料品製造業全般」の特定技能に移行ができます。

技能実習から特定技能に移行できる業務区分について、詳しくはこちらを参照してください。

※参考:特定技能ガイドブック(PDF)|出入国在留管理庁 p.8,9

2.特定技能の分野別 技能試験及び日本語試験に合格している

技能実習2号を良好に修了していない場合や他の在留資格から変更したい場合は、就労予定の分野の技能試験及び日本語試験(国際交流基金日本語基礎テスト、又は日本語能力試験N4 以上)に合格しているか、確認してください。

分野によって必要な日本語試験・技能試験は異なります。例えば、介護分野の場合、介護技能評価試験に合格する必要があります。また、通常の日本語試験に加えて、介護日本語評価試験という介護専門の日本語テストにも合格する必要がありますので、注意が必要です。

農業分野であれば、従事する業務に応じて、耕種農業全般もしくは畜産農業全般の農業技能測定試験の合格が必要です。日本語は、通常の日本語試験(国際交流基金日本語基礎テスト、又は日本語能力試験N4 以上)に合格していればOKです。

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ベトナム人採用で特に注意すべきこと【現地から採用する場合】

ベトナム現地から新たに入国する人を採用するときの注意点は下記の通りです。

二国間協定により、DOLAB認定の送出機関の利用が必須

ベトナムと日本は、二国間の協力覚書(MOC)を交換しており、ベトナム現地から新たに入国する人を採用するときには、まずはベトナム現地での手続きが必要になります。

基本的には、ベトナム労働・傷病兵・社会問題省海外労働管理局(以下、DOLAB)から認定された送出機関と、ベトナム人を採用したい日本の会社が、労働者提供契約を結びます。DOLABが送出機関との労働者提供契約を承認した後、日本の会社は、採用したいベトナム人と雇用契約を結ぶことができるようになります。

DOLABの「推薦者表交付申請」が必要

日本の会社が採用したいベトナム人と雇用契約を結んだ後、ベトナムの送出機関を通じて、DOLAB申請を行い、推薦者表を取得する必要があります。この推薦者表がないと、その後、日本に入国するために必要な在留資格認定証明書交付申請ができませんので、忘れずに取得するようにしてください。

外国人採用で最低限押さえておきたい各国の特徴・状況まとめ

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ベトナム人採用で特に注意すべきこと【日本国内から採用する場合】

すでに日本にいるベトナム人を採用するときにも、下記の点に気をつけましょう。

駐日ベトナム大使館の「推薦者表交付申請」が必要

すでに日本にいるベトナム人を採用するときにも、技能実習や留学の在留資格を持つ人を採用する場合は、特定技能への在留資格を変更する際に推薦者表の取得が必要です。

駐日ベトナム大使館に、あらかじめ推薦者表交付申請を行いましょう。

駐日ベトナム大使館への問い合わせは基本的にベトナム語での対応になるため、ベトナム人本人や在籍しているベトナム人社員に対応してもらうのがおすすめです。

特定技能の在留資格で転職する場合でも、手続きが必要

特定技能は、働く会社と従事する業務が指定される在留資格です。そのため、すでにその分野の特定技能の在留資格を持っていて、別の会社で働いている人を採用する場合にも、出入国在留管理局へ在留資格変更許可申請が必要です。

パスポートに指定書が添付されていますので、採用の際は確認してください。

オーバーワークしていないか

留学や家族滞在の在留資格を持つベトナム人を採用するときに要注意なのが、オーバーワークです。

資格外活動許可を取得している場合、1週間で28時間以内であれば、アルバイトをすることは可能です。しかし実際は、就労目的で日本に来ていることもあり、週28時間を超えて働いてしまっているケースが少なくありません。

特定技能への在留資格を変更する際には、住民税の課税証明書、納税証明書、源泉徴収票等、前年の給与がわかる資料を提出します。

そのため、給与が明らかに高いと、出入国在留管理局にオーバーワークと判断されます。オーバーワークをしている場合、在留状況が良くないと判断され、不許可になってしまうケースが多いので、念のため、採用前に確認しておきましょう。

まとめ

今回は、ベトナム人を「特定技能」の在留資格で雇用する場合について解説しました。

特定技能として働くベトナム人が増えているものの、ベトナム人側や会社側の要件が多くあり、雇用のハードルが高いもの事実です。要件や手続きが煩雑でよくわからない、という場合は、まずはマイナビグローバルまでお気軽にご相談ください。