なぜ増加?特定技能のインドネシア人の採用の流れなどを解説します
在留資格「特定技能」で働くインドネシア人が増えています。インドネシア人は真面目に働く人材が多く、日本の職場との親和性の高さが注目されています。
この記事では、インドネシア人に在留資格「特定技能」で働いてもらうための採用の流れを解説します。また、インドネシア人の雇用をおすすめする理由のほか、採用の際に注意すべき点も解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。
目次
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在留資格「特定技能」で働くインドネシア人が急増中
出入国在留管理庁が公表した資料「特定技能在留外国人数の公表等」では、特定技能1号として在留しているインドネシア人は2023年12月末で34,253人、2024年12月末では53,496人と1年で60%程度増加しています。
要因としては、技能実習生から特定技能へ在留資格を移行するインドネシア人が増加していること、インドネシア現地の特定技能試験の開催回数・会場数が多いことがあげられるでしょう。特定技能の現地試験は、他の国では首都や大都市など国内で数か所でのみ実施されていることが多いですが、インドネシアではジャカルタをはじめとする15カ所で実施されています。
このことから、特定技能試験の合格者が多く、採用対象者の母数が多いため、企業にとって採用しやすい状況となり、在留者数が増えていると考えられます。
特定技能制度とは?
特定技能制度とは、日本国内での労働力不足を背景として、一定の専門性・技能を有する外国人を受け入れるために2019年4月に創設されました。この制度は日本で働くことを希望する外国人が在留資格「特定技能」として日本に在留できる制度となります。また、在留資格「特定技能」には特定技能1号と2号の2種類があります。
特定技能1号の在留資格を申請するためには、特定技能試験に合格し、日本語試験(JLPTまたはJFT-Basic)でも一定の成績を収める必要があります。
詳細は下記をご確認ください。
<試験合格ルート>
- 対象分野の特定技能試験
- 日本語試験:日本語能力試験試験(JLPT)N4以上または国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)200点以上
<技能実習生ルート>
技能実習で学んだ分野以外で在留資格「特定技能」を取得する場合、日本語試験は不要ですが、特定技能試験に合格する必要があります。
特定技能1号の対象となる産業分野は、以下の16分野です。
特定技能1号の在留期間は、法務大臣が個別に指定(原則として1年以内)しますが、通算で5年を超えることはできません。
特定技能1号と2号の違い
ここでは特定技能1号と2号の違いを説明していきます。
先述したように在留資格「特定技能」には1号と2号がありますが、以下の表のように様々な点で違いがあります。
| 特定技能1号 | 特定技能2号 | |
| ①分野 | 16分野 | 11分野 |
| ②在留期間 | 1年・6カ月・4カ月ごとの更新 (通算5年まで) | 3年・1年・6カ月ごとの更新 (更新の上限なし) |
| ③永住権の取得 | できない | 要件を満たせる可能性がある |
| ④技能水準 | 相当程度の知識または経験を必要とする技能 | 熟練した技能 (各分野の技能試験で確認) |
| ⑤外国人支援 | 必須。支援計画の策定実施は義務 | 支援計画の策定実施は不要 |
| ⑥家族の帯同 | 不可 | 条件を満たせば可能 |
特定技能1号と特定技能2号の違いは分野の数など様々ありますが、中でも特徴的な違いは在留期間と永住権取得の可能性です。
技能実習や特定技能1号と異なり、特定技能2号は在留期間の更新に上限がなく、永住権を目指すこともできます。そのため、企業にとっては長期的な雇用を見込める人材といえます。
ほかにも、特定技能2号は多くの分野で在留資格の取得のために管理指導の経験が求められる点も特徴です。特定技能2号には、管理指導やリーダー的な役割を担うことが期待されていることも特定技能1号との大きな違いです。
特定技能1号と2号の違いについては、こちらの記事でも詳しく解説しています。
▶特定技能1号と2号の7つの違いを徹底比較!取得要件や在留期間に注目
そもそもなぜインドネシア人は日本で働きたいのか
インドネシア人が日本で働きたい主な理由は、人口に対してインドネシア国内の働き口が少ないこと、そしてインドネシアと比較して日本の給与水準が高いことです。
インドネシアは65歳以上の高齢者が人口の約5%と、生産年齢人口が大半を占めています。しかし、求職者に対して十分な雇用機会がないのが現状のため、国外で働くことを選択する人が珍しくありません。
また、インドネシアの平均月収は約3万円であり、日本の給与はインドネシアの給与と比較すると魅力的に映るため、在留資格「特定技能」で働きたいと考えるインドネシア人が多いと推測できます。
加えて、インドネシア人の多くは日本に親近感を持っています。理由としては、インドネシアで日本製品やアニメなどの知名度が高いことが影響していると考えられます。結果として、国外で働くことを検討する際に、なじみのある日本が選択肢に入ってきやすいといえるでしょう。
日本で働くインドネシア人が増加している理由について詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
▶日本で働くインドネシア人が増加中なのはなぜ? 直接聞いてわかった理由と日本企業に求めること
特定技能のインドネシア人を雇用するメリット
特定技能のインドネシア人を雇用するメリットは、以下の内容があげられます。
- インドネシアの平均年齢は29歳のため、若年層の人材を採用できるチャンスが多い。
- インドネシア現地から日本に呼び寄せる場合、企業の知名度や立地にこだわらない人も多いため中小企業でも条件次第で優秀な人材を採用できる。
- 「誰かが何かに困っていたら助け合う」という精神で仕事に取り組む傾向がある。
インドネシアなどの特定技能の人材を採用の対象に含めることで、若い世代の人を雇用できる可能性が高まります。
日本人の平均年齢が47.7歳である一方、インドネシア人の平均年齢は29歳であり、若手人材の母数が多いためです。特定技能で来日するインドネシア人を採用することで、若年層の人材を確保できる可能性が高まると考えられます。
また、インドネシア現地から日本に呼び寄せる場合、企業の知名度や立地を重視しない人が多い傾向があります。そのため、立地などの問題で、日本人の採用に苦戦している企業でも、海外にいる人材を採用することで人手不足を解消できる可能性があります。
そして、インドネシアの文化背景には、お互いを助け合う「Gotong Royong(ゴトング ロヨング)」の精神、つまり「誰かが何かに困っていたら助け合う」という文化があります。この精神は仕事への姿勢にも表れており、このようなインドネシア人の国民性は日本人と良い関係を築きやすい人材と言えるでしょう。
インドネシア人の国民性についてもっと詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
▶インドネシア人の性格と魅力とは?特徴や宗教上の慣習・注意点についても解説
インドネシア人を特定技能で雇用する方法
インドネシア人を特定技能で雇用する方法は、大きく分けると2種類です。インドネシア現地から日本に呼び寄せる方法と、日本に在留しているインドネシア人を特定技能として雇用する方法です。
まずは、特定技能外国人を受け入れる企業が産業分野共通で満たすべき要件について解説します。
特定技能外国人を受け入れる企業が満たすべき要件
分野にかかわらず、受け入れ企業が共通で満たすべき要件は、下記の4つの項目があります。
- 外国人と結ぶ雇用契約が適切であること
- 受入れ機関(雇用する企業を指す)自体が適切であること
- 外国人を支援する体制があること
- 外国人を支援する計画が適切であること
これらは全分野に共通する満たすべき最低限の要件で、インドネシア人に限らず、特定技能外国人を受け入れるすべての企業が求められる要件です。
分野によっては、独自に定められている追加の要件も存在するため、確認が必要です。
詳細については、以下の記事で解説しています。
▶受入れ機関とは?特定技能外国人の受け入れ条件や雇用までの流れを解説
海外にいるインドネシア人を採用する場合
海外にいるインドネシア人を特定技能として採用する場合、2つの方法があります。
- IPKOL(労働市場情報システム)を通じて自社採用を行う
- P3MIと提携している日本の人材紹介会社を活用する
詳しくは、次の項目で説明します。
①IPKOL(労働市場情報システム)を通じて自社採用を行う
人材紹介会社を利用せずに特定技能外国人を直接採用したい場合はIPKOLを活用することになります。
インドネシア政府が管理している労働市場情報システムのことです。求職者は、IPKOL上に技能試験の情報や日本語能力などの情報を登録します。受入れ機関は、IKPOLに求人情報を登録することで、人材とのマッチングが成立する仕組みです。人材紹介会社を利用せずに直接採用を希望する場合、このIPKOLを使用しなければなりません。
IPKOLを活用する際のメリット、デメリットとしては以下の内容が挙げられます。
・人材紹介会社を利用しない時より費用が安価で済む
デメリット
・IPKOLの対応言語がインドネシア語と英語しかないため、企業にとっては言語面でのハードルが高い
・在留資格認定証明書交付申請などの準備などの面で、インドネシア人を企業がサポートしなければいけない
・初めて特定技能外国人を受け入れる企業がインドネシア人の渡航を遠隔でサポートするのはハードルが高い
②P3MIと提携している人材紹介会社を活用する
在留資格認定証明書の交付申請などの手続きを企業が単独で行うのは、煩雑で難易度が高い場合があります。そこで、外国人を紹介する人材紹介会社に依頼して、人材紹介会社と提携しているP3MIという人材を送り出す役割を持つインドネシアの機関から人材を紹介してもらう方法が有効な手段となります。
インドネシア政府から許可を得ている職業紹介事業者で、送り出し機関の役割も担っています。送り出し機関とは、人材に技術や日本語教育を行い、日本に優秀な人材を送り出す機関です。
受け入れ企業がP3MIと直接やり取りするわけではなく、P3MIと提携している日本の人材紹介会社とやり取りすることになります。
イメージとしては、以下の通りです。
この採用方法のメリットとしては、インドネシア現地で技術や日本語の教育を受けているため、一定の人材の質が担保される点です。また、在留資格の申請などの様々な手続きのサポートもP3MIや人材紹介会社が行ってくれるので、人材に直接指示する手間も省けます。
国内に在留するインドネシア人を特定技能で採用する場合
既に日本国内に在留しているインドネシア人を採用する場合は、人材紹介会社などを通して求人募集・採用活動を行います。
雇用契約を締結したら、在留資格変更許可申請を行い、許可が下りれば特定技能として雇用できます。
雇用されるインドネシア人側の要件
ここでは特定技能の在留資格申請要件について説明していきます。
- 特定技能試験と日本語試験に合格すること
- 技能実習2号を良好に修了してからの移行
パターン①の特定技能試験と日本語試験の合格について解説します。
日本語試験にはJLPTとJFT-Basicの2種類があります。一般的に有名なのはJLPTですが、JFT-Basicのほうが受験できる機会が多い点が異なります。また、特定技能試験は分野ごとに行われる試験で、特定技能として就労できる技能水準であるかどうかが問われます。
パターン②の技能実習2号を良好に修了してから特定技能への移行する方法については、以下の記事で詳しく解説しています。
▶【行政書士が解説】技能実習から特定技能への移行は可能?手続き方法は?
特定技能のインドネシア人を雇用するためにかかる費用
特定技能のインドネシア人を雇用するためには以下のような費用がかかります。
- 在留資格申請・手続き費用
- 住居費
- 渡航費
- 人材紹介会社・送り出し機関の費用など
- 登録支援機関委託・支援費用
特定技能1号外国人を雇用する場合は、支援計画を作成し、特定技能外国人が安心して働けるよう支援が義務付けられています。ただ、自社で行うことが難しい場合は登録支援機関に依頼し、日常生活の支援や支援計画の作成のサポートをしてもらえます。
インドネシア人の採用がおすすめの分野
インドネシア人採用でおすすめの分野は、介護です。
理由としては技能実習で介護分野の経験を積んでいるインドネシア人が多く存在するためです。技能実習から特定技能へ在留資格を変更できるため、既に日本で介護業務を経験している人材が多く、優秀な人材を採用できる可能性が高い点が魅力と言えます。
また、インドネシア人は奉仕や相互扶助など「助け合い」の文化が根付いており、高齢者の介護にポジティブなイメージを持っています。人柄があたたかく、他人とのコミュニケーションが得意な人が多い国民性で、介護の仕事に向いていることも理由のひとつに挙げられます。
現地のインドネシア人を取材してきましたので興味のある方はご覧ください。
▶現地取材!インドネシアの特定技能「介護」の外国人はどんな人材?
インドネシア人を採用する際の注意点
インドネシア人を特定技能として採用する際の注意点として、「SISKOP2MI」と「宗教」があります。
詳しく解説していきます。
SISKOP2MIについて
インドネシアから来日する場合、インドネシア人自らがSISKOP2MIに登録しなければならない点に注意が必要です。
SISKOP2MIとは、インドネシア政府が管理する海外労働者管理システムのことで、登録を完了するとインドネシア在外労働者保護庁のID番号が発効されます。このID番号が無いと、在インドネシア日本国大使館・総領事館でビザ申請をすることができません。特定技能としてインドネシア現地から呼び寄せる場合、注意が必要です。
インドネシアの宗教事情
インドネシアは、ムスリム(イスラム教徒)が多いものの、多様な宗教が共存している国です。
イスラム教は豚肉・アルコール禁止などの食に関する制限や、1日5回お祈りする文化、また、ラマダンと呼ばれる断食の期間があります。
女性は、ヒジャブという布をかぶることも特徴のひとつです。ムスリムの女性を雇用する場合ヒジャブの着用についてすり合わせしておきましょう。業務上ヒジャブを外さないと事故につながりかねない作業がある場合や、衛生リスクのある作業を行う場合、事前に話し合っておくと、後々のトラブル回避に繋がります。
特定技能としてインドネシア人に働いてもらう場合、宗教事情にも配慮するようにしましょう。
インドネシアの宗教事情については、以下の記事で詳しく解説しています。
▶知っておきたい「インドネシア人の宗教事情」お祈りや雇用の際に注意すべきことも解説
インドネシア人を採用することで現場の人材難を解決
特定技能としてインドネシア人を雇用したい場合、現地のインドネシア人をターゲットにするほうが、すでに国内に在留しているインドネシア人よりも採用できる母数が多く、また企業の知名度なども気にしないため採用活動が円滑に進む可能性が高い点でおすすめです。
しかし、現地のインドネシア人を特定技能で雇用したい場合、IPKOLを活用し企業単独で採用活動をするのは、言語面などでハードルが高いと言えます。求職者にとっても在留資格申請の手続きなどを求職者本人がしないといけないため、ハードルが高いのが現状です。そのため、まずはP3MIと提携している人材紹介会社に相談し、申請手続きなどのサポートを受けながら採用活動を行うことをおすすめします。









